Column
法律コラム
「学校裏サイト」とは?
見つけ方・対策まとめ
学校裏サイトが発端となったいじめや自殺の問題は、これまでも繰り返し報じられています。
現在裏サイトを利用している児童・生徒はデジタルネイティブ世代で、親や保護者に見つからないような工夫をしていることすらあります。
学校裏サイトの削除は、裁判所に仮処分命令を申請することで行うことができます。
知識のない保護者や教師が安易に介入すると、さらに大きな問題に発展しかねないため、ネット問題に強い弁護士に相談するのがおすすめです。
学校裏サイトとは
学校裏サイトとは、学校の公式サイトとは別に、生徒などが作成した非公式サイトのことです。
掲示板など、利用者がコメントを書き込める形式になっていることが多くなっています。
部外者が入れないようパスワードがかかっている、学校名で検索をかけてもヒットしない、携帯電話でしかアクセスできないなど、保護者や教師に見つからないための工夫がされていることも多いです。
独立したサイトの他に、2ちゃんねる、ミルクカフェ、Yahoo!掲示板といった巨大掲示板の1スレッドを、学校裏サイトとして扱う場合もあります。
学校裏サイトの問題点
学校の非公式サイトがあったとしても、そこで行われているのが健全なやりとりのみなら問題はありません。
しかし、まだネットリテラシーの低い児童や生徒が利用することでトラブルに発展しやすかったり、そもそも愚痴や悪口を書き込むために作成される裏サイトが多かったりして、誹謗中傷の温床となるケースが後を絶ちません。
個人が特定できる誹謗中傷
学校裏サイトの最大の問題点は、ネット上でのいじめが起こりやすいこと。
特定の生徒の悪口や噂が裏サイトに書き込まれ、自殺や不登校に繋がったケースは、これまで何度もニュースで報じられています。
実名を出して誹謗中傷するわけではなくても、イニシャル・あだ名など個人が特定できる書き込みは、名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪にあたる可能性があります。
個人情報が晒されがち
誹謗中傷ではなかったとしても、児童・生徒の個人情報が所謂晒しにあうことが間々あります。
実名や住所などはもちろん、悪気なく掲載されたスナップ写真や、「明日〇〇ちゃんと××へ行く」といった些細な情報まであり、子どもを狙う犯罪者に悪用される危険があります。
もちろん、ネット上でのコミュニケーションが全て問題というわけではありません。しかし、児童・生徒にネットリテラシーを身につけさせ、個人情報を掲載しないよう学ぶ機会を設ける必要があります。
匿名なのでいじめに加担しやすい
ネット上では、自分や相手の顔が見えないことや、攻撃的な言葉を実際に声に出すわけではないことから、いじめを行うことについて障壁が少なく、行為がエスカレートしやすいです。
標的を共有すると、一斉にそちらへ攻撃が向かってリンチ状態になるのは、SNSなどでの「炎上」と同じ構図です。
実生活ではいじめに加担しないような児童・生徒も、ネット上で匿名であれば、相手を攻撃しやすくなってしまうという側面もあります。
ネットだけでなく実際のいじめに発展
学校裏サイトでのいじめは、すぐに実際の学校生活に波及します。
書き込みをしているのは、匿名とはいえ、現実世界におけるその学校やクラスの生徒ですから、実生活と裏サイトを切り離すことはできません。
学校裏サイトが問題になった事例
学校裏サイトがいつごろ広まったのかは不明瞭ですが、2002年ごろから存在していたと考えられています。
2007年には、「滝川高校いじめ自殺事件」で学校裏サイトの問題が広く報じられました。
この事件では、学校側は当初「いじめはなかった」としていましたが、後に学校裏サイトの存在や、そこに書き込まれた自殺した生徒に対する誹謗中傷が明らかになりました。
他にも、類似した事例はこれまで多数あり、2019年時点で確認されていた学校裏サイトは全国で10万件。
学校裏サイトの特性を考えると、いつ、どの学校で裏サイトを発端とする問題が起こってもおかしくない状況です。
参照:
https://ja.wikipedia.org/wiki/学校裏サイト
https://ja.wikipedia.org/wiki/滝川高校いじめ自殺事件
https://nettrouble.docomo.ne.jp/pages/article14/
https://www.fuhyo-bengoshicafe.com/bengoshicafe-509.html
学校裏サイトを見つけるには
それでは、保護者はどのように学校裏サイトを見つけ、対策をすればいいのかをお伝えします。
専用検索サイトを利用
学校裏サイトには、専用の検索サイトが存在します。
先にもお伝えしましたが、学校裏サイトは学校名で検索しても表示されないなど工夫がされていることが多いので、一般的な方法では探しにくいです。
そこで、「学校裏サイトチェッカー(http://schecker.jp/)」などのサイトを利用して探しましょう。
子ども・生徒のSNSから情報収集
自分の子どもやその周りの生徒が、SNSなどで学校裏サイトの存在を示唆していることもあります。
学校裏サイトを利用している生徒は、基本的にはそのことを後ろめたいと思っているため、直接聞いても教えてくれるとは限りません。
また、保護者や教師が勘付いていることを知られると、削除や移転をされてしまう可能性もあるため、気づかれないように情報収集をすることが大切です。
子ども・生徒から話を聞く
学校裏サイトで被害を受けている生徒自身や、その周囲で問題を感じている生徒の場合、直接話を聞くことで裏サイトの情報を得られる場合もあります。
ただし、安易な対応をすると、その生徒が「密告者」としていじめのターゲットになる可能性もあります。
ですので、生徒からの情報提供で、裏サイトについて注意や削除要請をする場合、情報提供者が誰なのかわからないようにする配慮が必要です。
学校裏サイトへの対策
最後に、学校裏サイトを大きな問題に発展させないために、どのような対策ができるのかをお伝えします。
リテラシー教育を行う
児童・生徒にネットリテラシーに関する教育を行うことは、学校裏サイトの大きな抑止力になります。
誹謗中傷を書き込んではいけないことは誰もがわかっているはずですが、悪意なく自分や友達の写真や個人情報をネットに掲載してしまう生徒もいます。
ネットの利用方法によって大きな問題が起こるということを、具体例なども交えて生徒に教育することは、事前にできる学校裏サイト対策です。
ペアレンタルコントロールの利用
ペアレンタルコントロールで、ネットの利用時間や閲覧サイトを制限することも、学校裏サイト対策になります。
アプリへの課金やアダルトサイトの閲覧など、学校裏サイト以外のネット利用の管理にも役立ちます。
ただし、周りは利用しているサイト・アプリへ一人だけアクセスできないとなると、そのことでいじめのターゲットになる可能性も捨てきれません。
ペアレンタルコントロールは効果的ではありますが、いじめ対策としては諸刃の剣とも言えるでしょう。
専門家に相談する
すでに学校裏サイトで問題が発生している場合には、専門家に相談するのがおすすめです。
学校裏サイトやいじめ問題には、多くの生徒・保護者が関わっていて非常に複雑です。
知識のない保護者や教師が安易に介入すると、より問題が大きくなってしまう可能性もあります。
ネットに強い弁護士に相談し、削除要請や、場合によっては加害者に損害賠償請求を行うことで、法的に責任を追及できると示すことになり、スムーズかつ安全に問題解決が可能になります。
まとめ
学校裏サイトがいじめや自殺に繋がる事件は20年ほど前から発生していて、現在も続いています。
事件化しない小さな問題は、さらに数えきれないほど起こっているでしょう。
まだ判断力が未熟な児童・生徒のネット利用には、保護者がしっかり注意を払う必要があります。
自分の子どもや生徒を被害者にも加害者にもしないよう、リテラシー教育など十分な対策を行いましょう。