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法律コラム
みんなの学校情報の書き込みを削除するには?
犯人の特定方法も解説
「みんなの学校情報」は、幼稚園から大学までの受験情報が掲載されているポータルサイトです。
在校生や卒業生の生の口コミが集まり、受験生やその保護者にとってはとても役立つサイトです。
しかし、一般の人の口コミが掲載されるという特性上、誹謗中傷の被害が起こるリスクも。
今回は、みんなの学校情報で起こりがちなトラブルと、誹謗中傷被害にあった場合の対処法についてお伝えします。
みんなの学校情報とは
まずは、みんなの学校情報の概要と、みんなの学校情報で起こりがちなトラブルについてお伝えします。
みんなの学校情報とは
みんなの学校情報は、幼稚園から大学まで、学校選びに役立つ情報を掲載しているポータルサイトです。
「幼稚園情報」「小学校情報」「中学情報」「高校情報」「専門学校情報」「大学情報」の6つのサイトに分かれています。
学校ごとに、偏差値や受験情報、在学生・卒業生・保護者等の口コミをまとめ、口コミ評価や偏差値順のランキングも作成しています。
6サイト合計で595,309件(2021年11月時点)もの口コミが寄せられ、受験生やその保護者に人気のサイトです。
みんなの学校情報にはトラブルも
みんなの学校情報には有益な口コミが多い一方、問題のある口コミが寄せられることもあります。
具体的なトラブル例や、その影響について見ていきましょう。
具体的なトラブル例
みんなの学校情報には、学校に対する誹謗中傷や名誉毀損、教師などへの個人攻撃が掲載されることがあります。
具体的な口コミとしては、以下のようなものが挙げられます。
・この学校では、教師同士が不倫している
・体育教師が変態で、女子にセクハラをしている
・女子更衣室に盗撮カメラがあった
・○○先生に暴行された
・○○という生徒が暴力団の息子で危険
・体罰が行われている
・裏口入学が行われている
・いじめや事故を隠蔽している、泣き寝入りさせられた
・校長の住所は〒~~
誹謗中傷を放置することの影響
みんなの学校情報は、受験や進学を考える受験生・保護者が参考にすることが多いサイトです。
みんなの学校情報に書き込まれた誹謗中傷を放置すると、以下のような影響が考えられます。
・学校への入学希望者が減る
・生徒や保護者からクレームが来る
・教師や生徒が嫌がらせを受ける
受験生の閲覧者が、学校に対する悪評を本当だと信じてしまった場合、入学希望者が減って学校の経営が苦しくなったり、偏差値が下がってしまう恐れがあります。
また、在校生やその保護者から「書き込みの内容は本当なのか」といった問い合わせやクレームが来る可能性も。
生徒や保護者が学校に対して不信感を持っていると、教師の言うことを聞かなくなったり、転校されるというケースもあるでしょう。
みんなの学校情報に個人情報が掲載されたり、個人が特定できる誹謗中傷が書き込まれることも考えられます。
その書き込みによって当事者が傷つくだけではなく、校内でいじめに発展したり、部外者から嫌がらせにあう危険があります。
みんなの学校情報に限らず、ネット上に悪評や誹謗中傷が書き込まれた場合には、情報が拡散・保存される前に早急な対処を行う必要があるのです。
みんなの学校情報の書き込みを削除するには
それでは、みんなの学校情報に不適切な書き込みがあった場合、削除依頼をする方法を解説します。
利用規約を確認する
みんなの学校情報で削除できるのは、利用規約に反する口コミのみです。
削除依頼をする際には、どの利用規約に反しているのかを明確にする必要があるため、まずはみんなの学校情報の利用規約を確認しましょう。
以下で要点をピックアップして解説しますが、全文はこちらで確認できます。
イトクロ「サイト利用規約」
削除できる書き込み
みんなの学校情報では、利用にあたって禁止している行為が27個あります。
これらに当てはまる書き込みは、運営に通報することで削除できる可能性が高いです。
27の禁止行為のうち、誹謗中傷に関連する可能性が高いのは以下のものです。
・法令に違反するもの
・著作権・著作者人格権・商標権等の知的財産権やその他他人の権利を侵害するもの
・他人に経済的・精神的損害を与えるもの
・脅迫的なもの
・他人の名誉を毀損するもの
・他人のプライバシーを侵害するもの
・他人を中傷するもの
・公序良俗に反するもの
・罵詈雑言に類するもの
・嫌悪感を与えるもの
・民族的・人種的・その他全ての差別につながるもの
・倫理的観点などから問題のあるもの
・未成年者の健全な保護育成を害するような行為
・自分以外の人物を名乗ったり、代表権や代理権がないにもかかわらず会社などの組織を名乗ったり、または他の人物や組織と提携、協力関係にあると偽ったりすること
・資料請求・口コミ投稿などにおいて、意図的に虚偽の情報を送信(発信)すること
・当社サイトの趣旨から逸脱した内容を送信(発信)すること
・犯罪予告・犯罪指南など重大な危険行為・犯罪に結びつく、またこれを助長する内容を送信(発信)すること
・口コミなどの評価を意図的に操作する行為に基づく内容を送信(発信)すること
みんなの学校情報が定めた禁止行為はかなり幅広いので、誹謗中傷に類する口コミは基本的に全て規約違反と考えて良いでしょう。
削除できない書き込み
上記の禁止事項に関連するような書き込みの中で、みんなの学校情報の運営が「削除できない」と明記しているものはありません。
ただし、表現の自由の観点から、明確に権利の侵害や名誉毀損と言い切れない書き込みに関しては、削除できない場合があります。
具体的には、マイナス意見の口コミだったとしても、それを公表することで公益性があると判断された場合には削除できない可能性が高いです。
自分で削除依頼をする方法
みんなの学校情報の削除依頼は、「お問い合わせフォーム」から行います。
お問い合わせフォームには、みんなの学校情報総合トップページの下部からアクセス可能です。
問い合わせフォームは「サポート窓口」「権利者向けお問い合わせ窓口」の2種類があります。
自分が誹謗中傷被害を受けた当事者の場合は「権利者向けお問い合わせ窓口」を使いましょう。
フォームからの送信内容は、以下の通りです。
・メールアドレス
・問い合わせ内容
・氏名
・役職
・電話番号
・権利が侵害されたとされるページのURL
・上記URL内の権利を侵害しているとされる掲載内容
・侵害されたとする権利
・権利が侵害されたとする理由(被害の状況)
・希望する対応(追加・修正・削除・その他の対応 から選択)
・事実関係確認用のURL
・申請者の立場(本人または代理人)
・添付ファイル(主張する内容の証拠等があれば)
依頼しても削除されないなら
上記の方法でみんなの学校情報に削除依頼をしても削除されない場合は、専門家に依頼することで法的に強制力の高い削除依頼ができる可能性があります。
専門家に依頼
本人に代わって誹謗中傷の削除依頼ができるのは、弁護士資格を持つ人のみです。
そのため、この場合に最適な相談先は弁護士となります。
弁護士に依頼して削除依頼を行う場合、以下の2通りの選択肢があります。
①弁護士に相談の上、削除依頼の法的根拠を強めて再度依頼する
②仮処分命令の申し立てを行う
仮処分の申し立てを行うと、裁判所からサイト管理者へ「書き込みを削除するように」という命令を出してもらうことが可能となります。
必ずしも弁護士資格がなくてもできる手続きですが、高度な法律の知識が必要で、手続きに手間もかかるので、個人で行わず弁護士に依頼するのがおすすめです。
専門家依頼の費用相場
誹謗中傷の削除を弁護士に依頼した場合、費用の相場は以下の通りです。
任意交渉による削除依頼:着手金5万円〜
仮処分命令申立:着手金20〜40万円、成功報酬10〜20万円
みんなの学校情報への誹謗中傷犯は特定可能?
みんなの学校情報の投稿者は、書き込みを行った際の「IPアドレス」から特定することが可能です。
この手続きを「発信者情報開示請求」といい、手続きの流れは以下の通り。
1. サイト運営に投稿者にIPアドレスを任意で開示請求
2. (開示されなかった場合)仮処分命令や訴訟でIPアドレスを開示請求
3. IPアドレスからプロバイダを特定
4. プロバイダに、そのIPアドレスが付与されたユーザーの個人情報を開示請求
5. 個人の名前や住所を特定
誹謗中傷の投稿者を特定するには、「IPアドレス」と「個人情報」の2段階に分けて開示請求を行います。
ただし、個人情報保護の観点から、サイト運営やプロバイダはIPアドレスの履歴を長くは保存していません。
会社にもよりますが、保存期間は3〜6ヶ月ほどが一般的なので、その期間中に投稿者の特定を終える必要があります。
発信者情報の開示請求にかかる費用は、着手金20〜30万円、成功報酬10〜20万円くらいが相場です。
まとめ
みんなの学校情報は、受験者や保護者にとって有益な情報が集まる反面、学校や教師・生徒に対する誹謗中傷被害が起こるリスクがあります。
誹謗中傷の書き込みを放置すると、重大な問題に発展する可能性もあるため、早急な対処が必要です。
今回解説した手順で削除依頼をしても対応されない場合、ネットの誹謗中傷に強い弁護士に相談しましょう。