Column
法律コラム
受験掲示板ミルクカフェの書き込みを削除してもらうには?
依頼方法と注意点
「ミルクカフェ」は、2000年に開設された受験関連の掲示板です。
学校や予備校に関するスレッドが多く、利用者層が若いため、個人情報の漏洩や誹謗中傷などの被害が起きやすいという特徴があります。
今回は、ミルクカフェでそういった被害にあった場合の対処法を解説いたします。
ミルクカフェに削除依頼をする2つの方法や、その方法では削除できなかった場合の対策を詳しくお伝えします。
ミルクカフェとは
ミルクカフェは、受験に特化したトピックを扱うネット掲示板です。
中学・高校・大学受験についての話題や、予備校・就職活動など受験に付随する話題の掲示板が設置されています。
ミルクカフェには関連サイトとして、各大学専用の掲示板がある「ミルキャン」、全国の小中高等学校それぞれの掲示板がある「学校BBS」、アニメや漫画の話題を扱う「萌えBBS」などがあります。
ミルクカフェの書き込みによるトラブルとは
ミルクカフェの書き込みによるトラブル事例としては、以下のようなものがあります。
トラブル事例
2003年、ミルクカフェへの書き込みで、裁判にまで発展したトラブルが発生しました。
医学系の進学予備校について批判的なスレッド・書き込みが相次ぎ、計500万円の損害賠償と書き込みの削除を求める民事訴訟が起きました。
そのほかにも、特定の学校・予備校や、教師・生徒個人への誹謗中傷などが書き込まれることがあります。
悪質な書き込みの影響
ミルクカフェへの悪質な書き込みの影響としては、悪い評判や誹謗中傷などにより、予備校の入塾者や学校の受験希望者が減少することが考えられます。
また、「A塾の講師は生徒を殴ったことがある」「講師Bは未成年の女子生徒と付き合っている」などの書き込みにより、講師個人が退職に追い込まれることも考えられます。
誹謗中傷や個人情報の暴露は精神的なストレスに繋がり、生徒に向けられた書き込みの場合は受験結果や私生活に影響する可能性も考えられます。
ミルクカフェの書き込みを削除するには
ここでは、ミルクカフェで誹謗中傷などの被害にあった場合、該当の書き込みを削除する方法をお伝えします。
削除してもらえる書き込みとは?
ミルクカフェで削除してもらえる書き込みは、ミルクカフェが定めた削除ガイドラインに違反しているものです。
ミルクカフェの削除ガイドライン
ミルクカフェの削除ガイドラインは、「書き込みを削除する基準」として定められています。
「あくまでガイドラインは基準であり、すべてがこのケースに当てはまるとは限りません。」という断りがありますが、まずは該当の書き込みがこのガイドラインに抵触しているかどうか確認しましょう。
以下で要点をかいつまんで掲載しますが、全文はこちらで確認できます。
ミルクカフェ「削除のためのガイドライン」
削除される書き込み
ミルクカフェの削除ガイドラインで、「削除される書き込み」として紹介されているのは以下のようなものです。
・住所や電話番号が書かれているもの
・明らかな悪意を持ち、該当機関に不利益や損害を与える恐れのあるもの
・所属する社員・講師の個人が特定できる情報を含むもの
・警察や裁判所からの削除命令が下されたもの
・個人が特定でき、且つ死ね、クズ、消えろ、など明らかな暴言など
・容姿への指摘、病歴など公益性がなく個人攻撃となりうるもの
・アスキーアートの連続投稿
・意味のない書きこみの大量投稿
・有害なコンピュータプログラムなどを添付し又はこれにリンクするもの
・そのスレッドに関係ない話題の書き込み
・下品な言葉
・下品なAAの書き込み。
・事務局が「これは荒らし」だと判断したもの
・児童や青少年に対し著しく粗暴性、残虐性又は犯罪を誘発助長し、その健全な育成を阻害する内容を含むもの
・参考書・テキストetcの売買など金銭の授受が発生するもの
・犯罪行為を惹起するおそれのあるもの
・他人を威迫・脅迫する旨が看取される内容を含むもの
・その掲示板とは関係ない話(ある程度、許容範囲あり)またローカルルール(板ごとのルール)に反するもの
・マルチポスト情報が分散されてしまうため、どんな適切な内容であっても、予告なくすべて削除する場合があります
削除されない書き込み
対して、上記の条件に当てはまるように見える書き込みでも、以下のようなものは削除されません。
・公益性があるもの
・第三者から簡単に個人を特定できないもの(「○○クラスの一番前に座っている人」「○○(伏字)年の生徒会長」など)
・事実関係が明確に書かれていたりする場合など公共性が高いもの
・教師や講師の教えた内容についてなどの批判
書き込みを削除する2つの方法
ミルクカフェで削除依頼をする方法は、2つあります。
それぞれの方法の手順や、削除依頼をする場合の例文を見ていきましょう。
①「お問い合わせフォーム」を利用
誹謗中傷を受けた本人が削除依頼する場合、運営に直接連絡できる「お問い合わせフォーム」から削除依頼が可能です。
お問い合わせフォームには、「削除のためのガイドライン」中にある「訴訟・裁判・該当者について」の項目からアクセス可能です。
以下の必要項目を記入し、メールを送信すると削除依頼が完了となります。
・担当者名
・電話番号
・メールアドレス
・掲示板名
・スレッド名
・URL
・削除依頼レス番号
・削除理由
②「削除依頼掲示板」を利用
上記以外のケースでは、「削除依頼掲示板」を利用します。
削除依頼掲示板の仕組みは、通常のミルクカフェの掲示板と同じです。
「レス削除依頼○年/○月/○日〜」というスレッドが多数ありますので、そこに以下の必要事項を書き込みましょう。
・掲示板名
・スレッド名
・URL
・削除依頼レス番号
・削除理由
ただし、削除依頼掲示板への書き込みは、誰でも閲覧できるシステムです。
誹謗中傷の被害者本人が削除依頼をしていると知られた場合、さらなる炎上を招く可能性があります。
本人から削除依頼する場合は、お問い合わせフォームの利用をおすすめします。
削除依頼の例文
ミルクカフェの削除依頼は、ガイドラインに定められた必要事項をコピー&ペーストし、端的に入力すれば問題ありません。
お問い合わせフォームからの場合
・担当者名:○○予備校 ○○校 ○田○子
・電話番号:○○-○○○-○○○○
・メールアドレス:○○○@○○○.com
・掲示板:大学受験板
・スレッド名:○○予備校の○田先生について話そう
・URL:http://○○○
・削除依頼レス番号:100
・削除理由:自宅の住所と家族構成が掲載され、「削除のためのガイドライン」の「個人情報についての基準」一種に抵触しているため
削除依頼掲示板の場合
・掲示板名:高校生板
・スレッド名:○○高校のスレ
・URL:http://○○○
・削除依頼レス番号:200
・削除理由:生徒の個人名が特定できる形で、行き過ぎた暴言が書き込まれている。「削除のためのガイドライン」の「批判・誹謗中傷について」に抵触しています。
削除依頼の注意点
ミルクカフェの削除依頼について、知っておきたい注意点は以下の3点です。
・自分の書き込みは削除できない
・削除理由が不明確(「不愉快です」「どう見ても削除対象です」など)では削除できない
・スレッドごとの削除は難しい
削除依頼で削除できるのは、原則的に他者による書き込みのみです。
後になって自分が書き込んだことに後悔しても、削除依頼はできないため、書き込む前に本当に適切かどうかよく考えましょう。
また、削除理由は削除ガイドラインをよく読んだ上、どの規約に違反しているか明確に書く必要があります。
理由が漠然としていると、同じ書き込みでも削除できない恐れがあるため気をつけましょう。
最後に、スレッドごとの削除は、スレッドの趣旨自体に問題がある場合以外は難しいため、単体のレスごとの削除依頼の方が通りやすいです。
それでも削除されないなら弁護士に相談を
自分で削除依頼を行ったものの、書き込みが削除されない場合、弁護士に相談することでより強制力の高い削除依頼ができる可能性があります。
弁護士に依頼する場合の手順
削除依頼フォームからの申請で削除されなければ、何度同じ方法で申請を繰り返しても受理されない可能性が高いです。
その場合には、裁判所を通じた「仮処分命令」での削除要請が有効です。
仮処分の申立てを行うと、裁判所からサイト管理者へ「書き込みを削除するように」という命令を出してもらうことができます。
仮処分命令の申立ての費用は、着手金20〜40万円、成功報酬10〜20万くらいが相場です。
書き込んだ犯人特定は可能?
弁護士に相談すると、誹謗中傷の書き込みを削除するだけではなく、書き込みの投稿者を特定して責任を追求することができます。
犯人特定の流れは、以下の通りです。
1. ミルクカフェの管理者に「お問い合わせフォーム」から任意開示請求を行う
2.(任意開示されなかった場合)仮処分命令でIPアドレスの開示請求を行う
3. IPアドレスを元に、プロバイダを特定
4. プロバイダに発信者情報を開示請求(訴訟手続き)
5. 投稿者の個人情報を入手
これらの手続きを行う場合、仮処分命令の費用とは別途で以下の弁護士報酬が発生します。
任意開示請求:着手金5〜10万円、成功報酬10〜20万円
発信者情報開示請求訴訟:着手金20〜30万円、成功報酬10〜20万円
まとめ
ミルクカフェ掲示板で誹謗中傷などの被害を受けた場合、運営に削除依頼をすることで削除してもらえる可能性があります。
削除依頼をするときには、まずはミルクカフェの「削除のためのガイドライン」をよく読み、削除の基準を満たしているかどうか確認しましょう。
削除依頼を自分で行っても削除できない場合、ネット上のトラブルに強い弁護士への相談がおすすめです。